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木材の特性は、わたしたちが表に出しがちな良い点ばかりではありません。
自然素材であるがゆえの不都合に感じる点もいくつかあります。
わたしたちの感覚では当たり前でも、木に慣れていない方からすると、
  「え、なにコレ」
と思うようなことも多いかもしれません。
そういった感覚の差をできるだけ無くすことが、より多くの方に木製品を選択肢に入れてもらえることに繋がると考えています。

 

ここでは木材や木製品を扱う時、また杉生をご利用いただくにあたって知っておいてほしいことをお伝えします。
木はよく知ったうえで上手に付き合えば、きっとみなさんの暮らしをより豊かにしてくれる素材だと思いますので、ぜひご一読ください。

 
木についてすでに詳しい方やプロの皆さんも、杉生の材木についてより理解できるかと思いますので、一度目を通していただけると幸いです。

木は動く

木は動く

針葉樹である杉・桧には非常に多くの水分が含まれており、立木を伐採した時点では100~150%もの水分を含んでいると言われます。(例えば1本の丸太において木の組織としての重さが100㎏だった場合、水分を100~150㎏含んでいるということ)
そこからおよそ20%以下まで含水率を下げれば、木材として使える状態とされていますが、そこまでいってもまだ水分を吸ったり吐いたりし続けます。
木は水分を放出すれば縮み、吸収すれば膨張するので、仮に乾燥が甘く含水率が高いものだったりすると使っているうちに大きく反ったり割れたりすることに繋がるのです。
それは商業施設など空調がよく効いた環境下ではより顕著で、充分に含水率を落とした状態にしておかないと、木が動く要因となります。
 
このことから木製品は、塗装の種類にもよりますが多少は動くものと思って付き合えると良いかと思います。
特に幅の広い板材などは、温度湿度の大きな変化は要注意です。空調や日光が直接当たるような場所での利用は十分に注意してください。

ちょっと豆知識

 - 平衡含水率 -
木材には、その周囲の環境(温度・湿度)によって、「もうこれ以上水分を出したり吸ったりしません」という状態になる含水率があり、それを ”平衡含水率” と言います。
それがこの日本ではおよそ15%と言われていますが、実際には四季があり晴れの日や雨の日もあります。日々目まぐるしく平衡含水率は変わるので、そこに向かって木は日常的に吸放湿を繰り返しているのです。それが自然の調湿作用として、私たちの暮らしに恩恵をもたらしてくれます。年間通じて平均すると大体15%というのが、日本の気候での平衡含水率ということです。
現代では空調設備が普及しているため屋内環境では10%以下ともいわれており、材木の含水率管理がより厳しくなっています。

木材の乾燥

バイオ乾燥機

バイオ乾燥機

材木業界で主流なのが高温乾燥という方法で、非常に短い時間で乾燥工程を済ませることができます。乾燥に際して避けられない表面割れも起きないようにする技術もあります。しかしこの方法にはデメリットがあり、木材特有の香りや色艶まで奪ってしまうのです。
対して杉生で採用しているバイオ乾燥という方法は、少し化学的な性質を利用した乾燥法です。
躯体が木材で組まれた乾燥庫内は、およそ40℃程度の乾燥機というには低温すぎるように思える環境ですが、木材がじわじわと汗をかくようにじっくりと水分を抜いていきます。温度で水分を抜いていくというよりは、壁が水分を吸着し外部へ放出していくイメージで乾燥が進んでいきます。
高温乾燥と比べるとかなり時間はかかりますが、屋外での天然乾燥より早く進むので、木に負担を掛けない乾燥法として採用しています。 

芯持ち材は割れる

背割りなし

背割りなし

背割りあり

背割りあり

 
前項でもお伝えしたように、杉生で作っている材木は天然乾燥させたものばかりです。そのため柱や梁のような丸太の芯の部分が入っている 芯持ち材は、乾燥に伴った表面割れは避けられません。あくまで表面割れなので強度にはそこまで影響はありませんが、美観的に気にされる場合も多いです。そのため105角や120角のような柱材には ” 背割り ” という切り込みを1面に入れています。その背割りが木の収縮する動きを全て受けることで、残り3面をキレイに仕上げることができるからです。
対して丸太の芯の部分から外した 芯去り材を使えば、どの面にも割れのない角材にすることも可能です。その分大きな丸太やある程度の技術も必要となるので価格が割高となります。

虫特材

虫特材

スギ・ヒノキの立木の表層付近は水分と栄養が豊富で、とある虫が大好物です。そのため皮の中まで入っていき木繊維を食べ進んだ跡が、材の表面に現れてくることがよくあります。主に表面に近い部分なので強度的には全く問題ありませんが、やはり美観的に美しくありません。
一般の材木市場ではこのような材は全く取り扱ってもらえませんが、実際にこのような材が非常に多くあるのも事実です。
杉生ではこのような材を ” 虫特 ” という等級で表現させていただくのですが、通常材よりも安い価格で販売しています。見えない部分に使う時や、これも自然素材ならではの表情だと思っていただける方には、ぜひ使っていただけるとより多くの資源の活用に繋がりますので、ご案内しております。

材木の保管から製造

材木保管

多くの材木屋さんでは各部材の寸法に仕上げた状態で商品として保管しています。
しかし杉生では製材したままの荒い状態で常時保管しています。そのためご注文を頂いてから、含水率を確認しつつ適切な原板(製材挽きの材)を選定し、目的の寸法に仕上げています。そうすることで様々な寸法のオーダーにも対応でき、木の香りや外観も出来る限り新鮮な状態でお届けすることができるのです。
そのためあえて製材したままの状態でのお渡しも可能です。ラフな外観がまた違った印象を見せる面白い使い方ができます。(表面の汚れや日焼け跡などは残ります)
 
そのような事情から材の準備に少し時間が掛かってしまい、内容や数量、時期にもよりますが、ご注文から少なくとも3~5営業日ほど納期を見て頂くことになります。

塗装の必要性

スギ塗装比較

左 無塗装  スギ  右 オイル塗装

 
ヒノキ塗装比較

左 無塗装  ヒノキ  右 オイル塗装

 
杉生では家具類や床板に塗装を施すこともあります。塗装の目的は木部の保護と美観の向上にあります。
現代には多種多様な塗料があり、どれが正解ということもないので非常に難しい分野です。その中でわたしたちが大切にしたいと思っていることは、「使う人にとって安全で、木の素材を感じられること」です。
そういった意味で、一番おすすめしているのは ”無塗装” です。ただこれは木部の保護という観点で気になる方が多いかと思います。そのためお客様が塗装を希望される場合、杉生では植物由来のオイルを使った塗料を使用しています。オイルを塗装することで水染みや汚れは付きにくくなります。
ではなぜ無塗装を最もおすすめしているのかというと、植物由来のオイル系塗料ももちろん安全ではあるのですが、絶対ではありません。人によってはごく稀にアレルギーなどもあり、100%安全な塗料というものはないのです。そして何より、スギ・ヒノキの何も塗らないそのままの木肌が一番美しいと感じるからです。
 
頻繁に水分が触れる環境下でなければ、そうは目立つ汚れはつきません。
その木製品を ”どのような環境でどう使っていきたいか” を考えて塗装方法を選んでいけると良いですね。
ただし、外部用は絶対塗装することをおすすめします。

ちょっと豆知識

 - ウレタン塗装 -
塗料って本当に色々な種類があってよくわからないですよね。そのなかでオイル塗装とかウレタン塗装とかよく聞くと思います。よくあるオイル塗装は自然由来のアマニ油とかヒマワリ油などが主剤でそのオイル分が木部に浸透し、内部で定着・硬化するものです。そこまで強い塗装ではないので、定期的に塗足しが必要です。それに対してウレタン塗装は、人工の樹脂成分であるウレタンを外部に造膜する塗装です。周囲をコーティングするので木の呼吸もしなくなり、木材が動くことがなくなります。塗膜も強く汚れも簡単には付かなくなり色々と手は掛からなくなりますが、木の素材感がかなり落ちてしまうので一長一短です。